10. 仕事のやり方が変わる!

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勤めていた会社が突然スウェーデン企業の傘下に。スウェーデン人やその他の国の人たちと一緒に働いて感じたことを記事にしています。
スウェーデンのインパクトが徐々に浸透してきます。グローバル共通システムに加え、リンクした業務プロセスがセットで日本のITチームにも導入されてきます。それにより自分たちの仕事のやり方が変わります。
PCとITネットワーク
自分たち日本のITチームが頑張って働いていることもあり、日本にもグローバルの共通システムが順次導入されてきます。まずはPCとITネットワーク。
PCは世界共通仕様のノートパソコンが主体でwindows/teams/officeです。でも標準は英語モード。最初はちょっと戸惑いますが慣れるのにそれほど時間は掛かりません。
VPNを基本とするグループ内ITネットワークも整備されてきます。配布されたPCを接続することで世界中どこの事務所にいても、インターネットに接続できる空港やカフェなどでも、日本の事務所にいる時と同じように仕事ができます。(大きな会社だったらひょっとすると当たり前かな?)
効率的な会議
会議の効率化も進められます。グローバルで作成された会議の基準書が紹介されます。効率的な会議とはどのような会議なのかとか、会議の目的(情報伝達、意思決定、ブレインストーミング)を明確にするとか、必要な人(関係ない人や発言しない人は参加不要)のみ参加するとか、事前準備の重要性(資料を事前に読む)とか、会議の時間は厳守(会議では議題に集中する)とか、会議で結論を出すとか、などなど。
一見、当たり前のことなのですが、振り返ってみると今までの日本の職場ではできていなかったかな?(それまでの会議時間は2時間ぐらいが当たり前だったような気がします。)効率的な会議が明確に、かつ強く志向されます。
更に・・・資料は前日までに指定のフォルダに保存して、参加者は事前に資料に目を通し質問事項などを準備して、会議での資料説明の時間はカットして、議長は議題を宣言後すぐ質疑応答に入って、特段なる質問が無ければすぐ採決して、そして次の議題に移って・・・・などなど以前はお昼前に3時間程度掛けていた定例会議が30分で終了するような事例も出てきました。
タイムイズマネー
工場で生産される製品と違って、ITチームの働いている仕事(例えばITシステム構築作業やメンテナンス業務)には基本的に原材料がありません。ITシステムやサービスの原価は、自分たちITエンジニアの日々の活動量が中心になります。
時間当たりの労務費はコスト、つまりタイムイズマネーです。それぞれのITエンジニアはジョブロールとレベルにより標準時間単価が設定されています。
グローバルで使っているIT業務のコスト管理を行うタイムマネジメントシステム(TMS)が導入されます。各ITエンジニアは、日々の活動実績をTMSに入力します。例えば、今日はAプロジェクトの設計業務に6時間、システムメンテナンスのプログラム差し替え作業に2時間使った、などの記録です。
IT部門のすべての業務はそれぞれコード化されていて、そのコードに沿った形で労働時間が細分化管理されます。メンバーは毎日終業前に自分の実績時間を記録するのが日課となりました。
それぞれの業務の作業時間が集約され、どのようなプロジェクトやメンテナンス業務にどれくらいの時間を掛けているのかを分析するのです。すぐグラフなどもできてしまいます。詳細な業務のコスト計算(管理会計)が進んできますね。
それまでの日本のやり方は、例えば総務部の原価って、その部門のヘッドカウントで計算されます。でも総務部の仕事にも実はいろいろな種類の業務があって、それぞれにどれくらいの工数や手間をかけているのかは正直分からない、不明です。
費やしている工数が分からないから、業務改善したとしても生産性が上がっているのかどうかも分からない。全社でコスト削減の施策などが検討されると、単純に総務部のヘッドカウントを減らせないかとなる。
TMSのおかげで、業務改善する際に、自分たちの業務のコスト構造を把握できるように変わり、改善を実施した際の効果算定もできるようになりました。
Shared IT Service(SITS)の組織化(人材バンク)
IT部門ではShared IT Service (SITS)の組織化がされました。SITSとは一般的にITインフラなどのIT資産を利害関係者で共有して使用することです。今回導入されたSITSは、このITインフラが対象ではなく、ITエンジニアの人材バンクとして組織化されたのです。ITエンジニアが様々なプロジェクトに容易に参加でき活躍できるようになります。
マルチで進んでいる様々なプロジェクトや、時にはメンテナンス業務に、この人材バンクから必要な要員が派遣されます。プロジェクトでは必要なITエンジニアのジョブロールとレベル、必要な期間や要員数がそれぞれ計画されるので、PMやBA、IAなどの投入数と投入期間が調整されます。
日本ではトヨタかんばん方式が有名ですがSITSの活動はまさにこのジャストインタイムです。必要な時期(期間)に、必要な品質(ジョブロール/レベル)を、必要な量(人数)だけ、投入することで有限のITエンジニアを効果的に活用します。
ITエンジニアがプロジェクトに参加する際には、そのプロジェクトでどのような経験や技術を習得するか、個人の目標や教育目的などを、三者(本人、上司、プロジェクトのPM)で話し合い共通目標とします。プロジェクト終了の際には、PMが評価結果を本人と上司にフィードバックします。
プロジェクト終了した(ひとしごと終えた)後には、次のプロジェクトへ参加するまで少し時間が空いたりすることがあります。そのような時はチャンス。ITエンジニアはまとまった休暇を取得したり、希望する教育を受講したりとリフレッシュできる良い機会です。
SITSの組織化により、各ITエンジニアは自分のジョブロールに集中してレベルを向上することに意識を振り向けることと同時に自分のライフサイクルに余裕ができるようになりました。
Sister Site Exchange Program(SSEP)の実施(他サイトへの赴任体験)
Sister Site Exchange Program(SSEP)が企画され実施されます。SSEPはグループ内の様々な国に短期駐在して、そのサイトの同僚達との人的ネットワークを築く活動です。SSEPを使ってスウェーデンをはじめ、フランスやベルギー、ポーランド、アジアでは中国や韓国、インドなどへ1~3か月程度の体験駐在する機会が提供されます。
駐在するメンバーは、通常日本で担当している業務をそのまま継続します。(共通インフラにより世界中どこでも普通に仕事ができます。)加えて駐在先のチームに参加して一緒にチームビルディング活動をしたり、同じジョブロールのメンバーと直接情報交換をしたり。
SSEPに参加したメンバーは、英語力の向上を含め一様にすごくいろいろな(でも刺激的な)体験ができて一回り大きく成長して帰ってきます。(「4. Attractive Work Place(魅力的な職場)」で紹介したベルギーでのボランティア活動「Waffles for Japan」もSSEPに参加したメンバーの体験でした。)
スウェーデンのシステムと、そのシステムが準じている業務プロセスが、日本チームに導入されたことで仕事のやり方が劇的に変わっていきました。
9. 社内公募制度のインパクト |
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社内公募制度は、自分のキャリアに自由度と可能性を与えてくれます。でもここでは同時に起こった社内公募制度のインパクトについて記載します。 |
11. 働き方が変わる! |
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自分たちの仕事のやり方が変わりました。働き方の自由度が増して、いろいろなことが可能になってきました。働き方が変わります。 |