6. ハードワークってほめ言葉？

勤めていた会社が突然スウェーデン企業の傘下に。スウェーデン人やその他の国の人たちと一緒に働いて感じたことを記事にしています。

日本人はハードワークだね

日本で大きなITプロジェクトがいくつも立ち上がっています。外国からたくさんITエンジニアがやってきて日本のITチームに合流、毎日が忙しいです。ある時グローバルIT部門のトップがスウェーデンからやってきました。夜遅い時間になっても事務所にたくさんの日本人同僚たちが居残って忙しく働いている様子を見て「日本人はハードワークだね」などとおっしゃります。「はい、日本人は夜遅くまで頑張るのは普通ですよ。」などと少しばかり得意げに答えたのですが・・・・後で考えてみるとちっとも褒められている感じじゃないみたい。どうやら長時間労働にはあまり価値を見出してはいないらしい。

平日には飲まない？

スウェーデン人から見ると定時後に居酒屋に繰り出す「飲みニケーション」は日本人サラリーマン文化の一つでもあり興味津々です。誘ったりすると喜んで参加してくれます。それにカラオケも大好き。彼らから見るとカラオケも日本文化の一つで、ぜひ体験してみたい活動です。（カラオケはすごく盛り上がります。）ITプロジェクトがスタートすると最初はお見合い期間。チームビルディングの活動のひとつとして連日楽しい時間を過ごします。

親睦も深まりますが少し落ち着いてくると様子が変わってくる。どうやらスウェーデンではお酒を楽しむのはほとんどが週末のみ、翌日仕事がある時は本当は飲みに行かない？昼間の仕事中に集中力を維持できるように前日から体調管理に気を付けるのが当たり前みたいです。

会社に出社しても二日酔いや睡眠不足で生産性が上がらない状態を「プレゼンティーイズム」と言うんだそうで。そしてスウェーデン人はそういう状態にならないよう気を配るのです。居酒屋に一緒に繰り出して盛り上がったのは最初だけで、日本に合わせてくれたのと、ついでに日本文化を体験したかっただけなんですね。仕事に対してはやっぱりプロフェッショナルです。

「ちょっといい？」は実は迷惑？

あるスウェーデン人が言っていました。日本人の働き方の特徴としてよくあるのが、仕事中に突然自分の席にやってきて「ちょっといい？」などと、ざっくばらんに1時間ほど仕事の会話をすること。これぞ日本人のチームワークの源、気軽にコミュニケーションを取れる良い事例だねと思ったのですが、どうも違うみたい。

彼の素朴な疑問は「1時間の打ち合わせをするのならなぜ事前に会議調整して議題などを教えてくれないのだろう？そうすれば自分も事前に準備できるのに。」でした。スウェーデン人にとって業務時間中の1時間は貴重な労働時間、効率的に過ごしたい気持ちが強いですね。早く仕事を済ませて自宅でプライベートなことに時間を費やしたいんですね。

サイレントタイム

日本人である自分の過去の仕事の仕方を振り返ってみると、仕事中にコミュニケーションを取ることは重要で当たり前。ややもすると複数の会議で1日過ごしてしまうこともままあり。（中には1日中電話を掛けまくっているような同僚もいたなあ。）スウェーデン人は仕事中に必ずサイレントタイムを作って自分の業務（作業？）に集中するようにしてるみたいでした。

Enjoy the low hanging fruits

スウェーデン人から習った言葉のひとつが「Enjoy the low hanging fruits」です。直訳すると「手が届くところのフルーツから味わおう」と言った感じ。ビジネス的には「成果が出せるところからさっさと成果を出そう」と言った感じでしょうか？

グループで一番偉いプレジデントが日本に来た時に「日本は頑張っているのですばらしい」と褒めてくれたのは社交辞令？「でも意思決定や実行に時間が掛かって時々いらいらすることもある」などと言っていました。日本人の感覚からすると「品質第一」、「仕事は慎重に間違いなく」が当たり前、とは思うのですが「ちょっとぐらい十分でなくても良いからスピードが大事」みたいです。仕事の生産性について基本的な価値観が日本とは違うんですね。

幸いなことに面と向かって「日本人のハードワークは、だらだらと労働時間が長いだけ、集中力や生産性も低下するでしょ」みたいなことを言われなかったので良かったのですが・・・でもたぶん心の中で思われていたような気がします。
日本の生産性を高めるためには、いろいろな事を変えていく必要がありそうです。